終活の実際~当事者の声~


近年、さまざまな分野で多様性を認めようという機運が高まってきています。


しかし残念ながら、特に老齢期における「おひとりさま」への理解は、進んでいるとは言い難い状況です。社会的な仕組みのほぼすべてが、「呼べばすぐに駆けつけてくれる家族がいる」ということが原則となっているからです。

誰にも迷惑は掛けたくないと思っていても、病気や認知症になったとき、そして亡くなった後には、どんな人でも必ず「家族かそれに代わる誰か」の助けが必要となります。


今後、増えつづけるであろう「おひとりさま」。家族に頼ることなく安心して老後とその先を迎えるための終活について考えてみましょう。

今回コラムを書いたひと

山口 千恵 さん

やまぐち・ちえ

一般社団法人そーしゃる・おふぃす 代表理事

社会福祉士・介護支援専門員・ファイナンシャルプランナー

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おひとりさまのための死後手続き相談窓口のわたしご(「わたしの死後手続き」の愛称です!)では、提携パートナー法人が個々で持つ死後事務に関するノウハウ・情報をコラム形式でお伝えしていきます。今回は、一般社団法人そーしゃる・おふぃす 山口千恵さんのコラムになります。

おひとりさまは年々増加傾向にあります。近年は特に女性の割合が高くなっています。おひとりさまが抱える、医療保険でも介護保険でも生命保険でも補えないリスクに備えて、もう対策はお済みでしょうか?

今回は当社と実際にご契約いただいている方の生の声をお届けします。おふたりからコメントと感想をいただいておりますので、ご依頼を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

〈事例①〉同居していた長女の死をきっかけに契約

Sさん(70代女性、福岡県)

私が任意後見制度を知ったのは6年前でした。当時私は夫とは離婚していましたが、長女と同居中だったので、老後の生活については何の不安もなく、後見制度には興味もないし、自分には関係ないと思っていました。

しかし、3年前に長女を突然交通事故で亡くしてから、独居になってしまいました。別居している二女は障害もあり迷惑はかけられません。それからは、親族に迷惑をかけずに自立して自分らしい生活をするためにはどうしたらいいかと悩み、不眠症状が出るようになってしまいました。そんなときに友人が紹介してくれたのが「そーしゃる・おふぃす」でした。

そーしゃる・おふぃすの担当者の方から、任意後見契約と死後事務委任契約の話を聞いて、すごく心が落ち着きました。そして公証役場でそーしゃる・おふぃすを受任者とする委任契約・任意後見契約・死後事務委任契約を締結しました。

わたしが任意後見契約・死後事務委任契約を締結してよかったことは、自分自身の老後の生活を家族や親族に依存せず、自立して自分らしく過ごせることです。本当に良い終活ができたと実感しています。二女とも親子の関係が対等な位置関係となり、現在は旅行・映画・食事など気楽なつきあいができるようになりました。

〈事例②〉体調を崩してしまったことをきっかけに契約

Aさん(70代女性、福岡県)

ひとり暮らしになって26年。70歳までは自分はまだまだ元気だと思っていましたが、体調を崩した夜などはとても不安で、自ら救急車を呼び、そのまま病院へ搬送されることも何度かありました。

だんだんと体力的に自信もなくなってきて、もしものことを考えると入院手続きなどの身元保証をだれかに頼んでおいたほうがいいのかなと、意識するようになりました。でも、どこに相談すればよいのかわからず、まず市役所の高齢者支援課へ相談に行ったところ、「そーしゃる・おふぃす」を紹介いただきました。

そーしゃる・おふぃすの担当者さんから、事務委任契約をすることで、判断能力が低下する前でも任意後見とほぼ同じサービスが受けられるとの説明を聞いて、移行型任意後見契約と死後事務委任契約、遺言書を公正証書で作成することにしました。

また、ケアハウスへの入居を機にお仏壇の片づけについても、そーしゃる・おふぃすの担当者さんが同席の上でお寺さんと話をすることができました。リモートでつないで話ができるのも安心できます。


一般社団法人そーしゃる・おふぃす 概要

~法人後見(成年後見・任意後見)死後事務委任契約・24時間緊急時対応付き見守り契約・居住支援事業(福岡県指定)・ゆうりんケアプランセンター~

一般社団法人そーしゃる・おふぃすは、高齢者や障がい者の方々の権利をサポートする目的で平成25年に設立。平成29年10月住宅セーフティネット法改正に伴い、福岡県の指定を受け居住支援事業をスタートし、高齢者・障がい者に限らず、母子家庭や生活困窮者など、領域を超えて住まいや生活の相談窓口としてワンストップで対応。社会福祉士国家資格を保有したスタッフが弁護士や司法書士はじめ関係機関と連携しながら、元気なうちから、将来もしものことがあったときまで、見守りサービスや任意後見契約、死後事務委任契約などを要望に応じて提案するなど、一人ひとりに寄り添ったサービスを提供している。

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