リレーコラム:「おひとりさまの終活」のキモとは
近年、さまざまな分野で多様性を認めようという機運が高まってきています。
しかし残念ながら、特に老齢期における「おひとりさま」への理解は、進んでいるとは言い難い状況です。社会的な仕組みのほぼすべてが、「呼べばすぐに駆けつけてくれる家族がいる」ということが原則となっているからです。
誰にも迷惑は掛けたくないと思っていても、病気や認知症になったとき、そして亡くなった後には、どんな人でも必ず「家族かそれに代わる誰か」の助けが必要となります。
今後、増えつづけるであろう「おひとりさま」。家族に頼ることなく安心して老後とその先を迎えるための終活について考えてみましょう。
今回コラムを書いたひと
黒澤 史津乃 さん
株式会社OAGライフサポート
おひとりさまのための死後手続き相談窓口のわたしご(「わたしの死後手続き」の愛称です!)では、提携パートナー法人が個々で持つ死後事務に関するノウハウ・情報をコラム形式でお伝えしていきます。今回は株式会社OAGライフサポート 黒澤 史津乃 さんのコラムになります。
「おひとりさま」の定義
「おひとりさま」というと、未婚で子どもがいない人、子どもがなく配偶者と死別した人、または離婚した人、こんな方々がまずは思い浮かぶのではないでしょうか。
子どもがいても遠方ですぐに駆けつけてもらえない、今は配偶者がいても先立たれて一人になってしまうかもしれません。
それだけではありません。病気や認知症などにより正常な判断ができなくなったときに備えて、頼れる家族が身近にいてもいなくても、その先の生き方や人生の幕引きについて自分自身で決めておきたいと考える方は、皆、前向きな「おひとりさま」なのです。
これからは、無条件で家族に決定権が移行するという常識が崩れ、「一億総おひとりさま時代」の幕が開くことになるでしょう。
終活っていつ始めるの?
終活という言葉が一般化し、漠然と「終活を始めなければ」と焦りを感じる方が増えているそうです。
私はこれまで、50歳前後から90歳超まで、幅広い年齢層の方々から「終活はいつ始めればよいですか?」という質問を受けた経験がありますが、いつも「その質問をした『今』です」とお答えしています。
正常な判断が出来なくなったときのこと、そして亡くなった後のことを考え、決定しておくのが終活ですから、決定する時点では正常な理解力・判断力が必要です。中には契約行為を要することもありますので、早すぎることはありません。終活という言葉が頭に浮かんだときが、終活の始め時です。
終活って何をすればいいの?
終活と聞いてまず思い浮かべるのは、葬儀とお墓のことかもしれません。
確かに、亡くなった後のお身体の処遇や、各方面へ死亡の届出、遺品整理などは、決して自分では出来ませんから、自動的に家族がやってくれる当てがなければ、あらかじめ決めておくべきです。
そこで、生きている間のことは何とかなるから、死後のことだけを頼みたいと考える人も多いようです。
ここで注意すべきことは、第三者に死後の事務だけを委託したとき、その委託先に、本人の生死に関する情報を管理する権限がないとしたら、他の誰かが死亡の事実を知らせてくれない限り、頼まれていた葬儀を実現することが出来ないということです。
つまり、終活にとって大切なのは、死亡後のことだけでなく、亡くなった事実をいち早く把握できる権限も含め、死亡の前後のことを切れ目なく考えて備えておくことです。
病気や認知症などにより正常な判断が難しくなった場合の意思決定や情報管理をどうするのかということも、終活にとって重要な要素なのです。
最終目標は「誰に託すのか」
おひとりさまの終活における最大のヤマ場は、「誰に託すのか」ということです。
エンディングノートをいくら緻密に仕上げても、いざという時に誰にも見つけてもらえなければ、せっかくの将来へ向けたメッセージが絵に描いた餅となってしまいます。
終末期医療の希望表明も、認知症に備えた保険も、葬儀社との生前予約も、永代供養の納骨堂も、終活の取りまとめ役となる誰かが情報を集約し、必要な時期に権限を持った誰かが手続きをしなければ、残念ながら事前の希望表明や意思決定が実現されることはありません。
取りまとめと実現の役割を誰に託すのか。熟考した結果、親族の一人に正式に頼むと決めるのも、立派なおひとりさまの終活の最終帰結です。
やはり親族には頼らないと決めた場合には、第三者の専門職に頼むのか、それとも「身元保証等高齢者サポート事業者」と呼ばれる団体に頼むのか、正常な判断が出来なくなったときの尊厳を託す相手ですから、慎重を期して選別すべきです。
まとめ~おひとりさまの終活のキモとは?
最後に、「おひとりさま」にとって安心な終活のキモとなる3点を以下にまとめておきます。
- 終活を始めるタイミングは、「お元気なとき」
- 終活でカバーすべき範囲は、死後だけでなく、生前に正常な判断ができなくなる時期も含めた「死の前後の時期」
- 終活の最重要ポイントは、取りまとめ・実現の役割をしてくれる人(団体)を「選定して託すこと」
次の瞬間からいつ何が起こるのか分からないのが人生ですが、おひとりさまの終活によって安心を得ることで、きっとこれからの人生を豊かに生き抜いてゆくことができると確信しています。
株式会社OAGライフサポート
~ひとりじゃないという安心感を。より良く生きるためのあなたの「尊厳」をお守りします。~
OAGライフサポートは、総合力と専門性を誇るOAGグループに所属し、「おひとりさま」に対する総合的支援を行う会社です。おひとりさまの「自己決定=尊厳」を全力でお守りしながら、家族に頼らない前向きな老後とその先を指南します。