終活 どんな準備が必要か?

社会の高齢化や価値観の多様化とともに、従来は、タブー視されていた自分や家族の人生のエンディングについて早くから考え、行動する「終活」が注目されています。

今回コラムを書いたひと

神田 紀久男さん

かんだ・きくお

株式会社イフ・ケア北九州・代表取締役

1967年、福岡県北九州市生まれ。1990年、日本大学法学部経営法学科卒業後、安川電機製作所(現 安川電機)に入社。この間、海外勤務を9年間経験。退社後、2003年に株式会社イフ・ケア北九州を創業。2010年より終活カウンセラー協会認定終活講師。北九州市市民カレッジ、北九州市内市民センターなどで終活セミナーの講師を務める。終活コラムの執筆、ラジオ出演多数。2021年、「おひとりさまの終活~死後事務委任お困りごとで解決」を刊行。

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おひとりさまのための死後手続き相談窓口のわたしご(「わたしの死後手続き」の愛称です!)では、提携パートナー法人が個々で持つ死後事務に関するノウハウ・情報をコラム形式でお伝えしていきます。今回は株式会社イフ・ケア北九州の神田 紀久男さんのコラムになります。

終活はいつでも始められる

核家族化、単身世帯の増加や、近隣住民や親戚付き合いの希薄化などによって、死は「家のもの」でなく、「個人のもの」に移り変わりつつあります。結果、「周囲の人や家族に迷惑をかけないよう、自ら死後について考えて準備をしておく」という考え方が広く浸透し始めています。

また、老後をいかに健やかに暮らすかという人生設計が不可欠となってきました。どのように死を迎えるかを考えることによって老後の不安を解消し、前向きに生きるポジティブな思考は、現代のスタンダードであるといえるでしょう。

「終活」とは、「人生の終焉を考えることを通じて、自分を見つめ今をよりよく自分らしく生きる活動」のことを言います。

自分の亡くなった際の葬儀、お墓、遺言の準備や財産相続、身の回りの生前整理などはイメージしやすいと思いますが、それだけでなく、生きていく間のこと、例えば介護・保険・年金といったことを含む人生設計と捉え、ポジティブな活動という意味でも広がってきています。

ですから、終活はいつでも始められるものです。

人生設計の足掛かりとしての終活

自分が亡くなった際にどのくらいの費用がかかるかがハッキリとわかり、老後の家計を把握しやすくなることは終活のメリットといえます。

また、身の回りの整理や、万が一の際に、延命治療などをどうして欲しいか自分の意志を明確にしておくことなどは、年齢を問わず役に立ちます。

いつか必ず訪れる自らの死・何時くるかはわからない自らの死と向き合い、自分らしく、どのような最期を迎えたいかを考える――。

未来を見据えた人生設計の足掛かりとして、終活を始めてみませんか?

「おひとりさま」の終活~知っておきたい制度~

家族が身近にいる場合は、終活を行わなくても、大きな不安を感じることは少ないと思いますが、「頼る人がいない一人暮らしで、万が一のときに誰にも見つけてもらえないのではないか」などの不安を感じやすい、いわゆる「おひとりさま」については、準備を進めていく必要があります。

まずは、焦らず・ゆっくりと人生を愉しむためのライフプラン作りといった気持ちで取り組んでもらえると良いかと思います。

「おひとりさま」の終活において、知っておきたい制度を紹介します。

終活の内容にこれといった決まりや順序はありませんが、多くの人が、関心を寄せるものとして次の4点が挙げられます。

  • 遺言書を作る
  • 成年後見制度を学び、認知症対策を施す
  • 死後事務委任契約を締結する
  • 見守り・身元保証について考える

この4つの中で、遺言書・成年後見制度・死後事務委任契約は、「おひとりさま」にとっては、必要アイテムで、多くの相談が寄せられます。

本人にとってベターなスキームを

「ヒト」は、一般的に、年齢を重ねるにつれ、体力が衰え、徐々に判断能力が衰えていき、最後に亡くなるというふうに進んでいきます。判断能力が衰えた時(認知症発症)に、「おひとりさま」の生活を支え、代わりに財産管理を行ってくれる制度が成年後見制度です。

そして、死亡後に、本人の遺体を引き取り・葬儀・供養を行い、その他各種資格証明等返納手続きや携帯電話などの各種契約の解約手続きを行うものが死後事務委任契約であり、これらにかかる費用を本人の財産から支出をして、残った財産の処分(相続)を行うことになります。

生きていくときに、見守りや身元保証が必要になるかどうかは、状況次第です。

気を付けてもらいたいのは、「死」という事柄が発生した時に、成年後見人や遺言執行者や死後事務委任者の誰かが「看取る」ことが必要となるという点です。

遺言執行者を指名しても、死後事務委任を行ったとしても、受任者が、本人の死を知らないことには、事が始まりませんので、契約をするだけでなく、連絡を取れる方法を如何に講じるかを決めていくことが必要です。

それぞれ個別の契約となることが面倒だと思われるかもしれませんが、全てを一人にお任せするよりも、独立していた方が良いと考えます。

その理由は、受任者が、本人の死が発生する前に何らかの事情(個人であれば、死亡。法人であれば倒産など)で、義務履行が出来なくなる可能性があるからです。その場合には、全てがご破算になってしまいます。一からやり直しでは大変です。

たとえば、私が死後事務委任契約を請負い、遺言は弁護士さんや司法書士さんに。成年・任意後見は親族の方・法律家の方などと協力しながら……。本人にとってどんなスキームがよりベターかと考えながら進めていきます。

前向きな老後のために~エンディングノート~

最後に、終活では、「エンディングノート」を上手く活用しましょう。エンディングノートを書くことが出来れば、それは、必要となる遺言・死後事務委任契約の土台作りになります。

専門家に終活相談をする場合でも、エンディングノートに聞きたいことやわからない点をまとめておくと、深く掘り下げたアドバイスを受けることが出来ます。私が相談を受ける場合にも、よくエンディングノートを活用しながら、相談者と一緒に考えていくことを行っています。

終活を始めると、これからの時間を有意義に過ごそうという気持ちが高まり、より充実した人生を送れるようになるでしょう。前向きな老後のために人生のエンディングと向き合い、1日1日を大切に過ごしてください。


株式会社イフ・ケア北九州

~終活を一緒に考え、寄り添う死後事務委任を必要な人にお届けします~

元気なうちは、気兼ねの要らない自由な暮らしがいいと思っていても、ひとり暮らしの人は、将来に不安を感じることが多いと思います。ひとり暮らしと一口に言っても、ずっとシングルで生きてきた人・離婚した人、配偶者と死別した人などさまざまな人生があるでしょう。共通することは、この後誰もが歳を取り、いずれは「死」を迎えるということです。それは何も、ひとり暮らしの人に限ったことではありませんが、家族と暮らしている人が感じる将来への不安と、ひとり暮らしの人が抱える将来への不安は、少し異なるかもしれません。
イフケア北九州は2003年に創業。主力事業はご遺体搬送と終活相談です。どんなご要望にも対応していくことをモットーにサービスを行っています。

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