インタビュー:エンディングサービスセンター®(一般社団法人エンディングサービスセンター)
こんにちは、おひとりさまのための死後手続き相談窓口のわたしご(「わたしの死後手続き」の愛称です!)運営スタッフのHです。
わたしごでは、提携パートナー法人の方々に、事業内容の紹介や死後事務、生前契約の「今」を語っていただくインタビューをリレー形式でお届けしていきます。
今回は、一般社団法人エンディングサービスセンターの柳原勝利さんにインタビューをさせていただきました。
今回インタビューさせていただいた方
柳原勝利
一般社団法人エンディングサービスセンター 代表理事
愛知県、三重県を中心に終活サービスを展開しています。学歴:工業高校機械科卒。趣味:フットサル。保有資格:社会保険労務士・行政書士・日商簿記2級・工業系の資格は多数あり。前職は町工場。行動は「現場主義」です。
あらゆる業種との連携
柳原です、よろしくお願いします!
さっそくですが、事業内容について教えてください。
見守り契約をはじめ、エンディングノート作成、身元保証契約、財産管理等委任契約、任意後見契約、公正証書遺言、尊厳死宣言書、死後事務委任契約などです。
創業にいたるまでの経緯を教えてください。
日本では、「死」の話はネガティブとされ、何も準備されることなく亡くなられる方がほとんどでした。しかし、時代は変わり、今では身寄りがいない単身者が増えています。
身寄りがいる場合でも、遠方に住んでいたり、高齢者だったりと、実際には頼れないことが多いと聞きます。
そうですね。そのため、後継者がいることを前提に作られた諸制度では、少子化に対応できず、これまでの常識が通用しない時代となっています。
そうした時代において、身寄りのいない単身者は何を行えばいいのでしょうか。
自分の死後の手続き(葬儀・火葬・納骨等の葬送、遺品整理、遺産整理、公共料金などの解約・精算手続き)を、生前の元気なうちに第三者と契約(死後事務委任契約)することが必要ですね。
何も準備せずに亡くなった場合はどうなりますか。
相続人がいない方の財産は国庫へ帰属されますし、死体の埋葬又は火葬を行う者がないときは死亡地の市町村長が行うことになります(墓埋法9条)。
柳原さんは、以前は依頼者と柳原さん自身とで契約を結んできたと聞きました。
これまで私は個人事務所の所長として、依頼者と私の契約で死後事務委任契約を締結してきました。
しかし、個人事務所では、依頼者より先に私が死亡した場合、その契約は無効となり、依頼者は新たな契約を他者と取り交わさなければならないことになるのです。
新たに契約を結ぶことになれば、依頼者にとっては大きな負担になりますね。
そのとおりです。しかし、生身の人間である以上どちらが先に死ぬかは誰にもわかりませんので、その可能性を否定することはできません。
個人事務所では、そうした可能性も考慮する必要があるのですね。
また、かつて家族が行ってきたことを第三者が行うわけですから、法律専門職だけで対応できるわけではありません。葬儀社や介護施設、宗教法人などあらゆる業種と連携する必要があります。
依頼者の要望に応えるためには、さまざまな業種との連携は必須ですね。
そこで、この趣旨に賛同してくれた者と、営利を目的としない一般社団法人エンディングサービスセンターを設立することを決意しました。
家族のように寄り添いサポート
エンディングサービスセンターの経営理念を教えてください。
家族のように寄り添いサポートいたします。
備えあれば、憂いなし! 残される方を困らせたくない、いまをしっかりと生きるためのエンディングサービスです。
依頼者へのアピールポイントはありますか。
事務的な関係ではなく、常に現場主義であることです。弊社は企業というより個人同士のお付き合いであるように接しています。
お客様とは、時間を気にせず雑談をしながらお話をしていきます。
相談時の雑談は必要ですか。
必要だと思います。お客様がどんな人生を歩んでこられたのかを聞き出さなければ、お人柄は見えてきませんし、ご家族やその方の背景は見えてきません。
本当の意味で心を開いていただくことは難しいです。
確かにマニュアルに沿った対応では、依頼者の人柄は見えませんね。
そうですね。また、私に利益のないお話もたくさんしますね。
私たちが家族の代行として大切な手伝いをさせていただくのに、利益を追求するのはおかしいですから。
そうすると、依頼者との相性も大事になってきますね。
はい。まずは時間をかけて、しっかりとお話をして理解を深めていきます。
ご家族のご理解も大事に
ここ最近の依頼者の傾向があれば教えてください。
コロナ禍のため高齢者を対象としたイベント等を自粛している関係もあり、最近は以前より終活相談は減少している傾向があります。
コロナ禍による影響は大きいですね。
死後事務を認知していただくためには、終活を広げることが必要になりますので、一日も早く安心して終活のセミナーを開くことができるようになればと思っています。
依頼者からよく相談されることがあれば教えてください。
相続や手続きについて、生前であれば墓じまいや空き家の相談を受けることも多いです。
また、最近の葬儀事情やお墓事情についても説明したりなど、お困り事は全般にお答えしています。
相談は依頼者だけでなく、依頼者の家族にも行うと聞きました。
必ず奥様とお子さん双方にお話をしています。理由は、手続きの先にある問題に向き合うためです。
相続人がいるのであれば、みなさん揃って、お話したいとお伝えします。
相続等は親族の協力も必要ですからね。
おっしゃるとおりです。
死後事務はご依頼人のご家族も関わることになりますので、依頼人側だけに寄り添うのではなく、ご家族のご理解も大事になります。
相談時の流れはどのようになりますか。
まずはエンディングノートの作成から入ります。それが書けなければ死後事務が明確になりませんので、一緒に考えて作成していきます。
例えば、ペースメーカーを入れている人は事前に外す必要があるので、そういった細かなことも記載するようにお伝えしています。
最近では、スマホの相続が問題になっていると聞きます。
そうなんです。実は相続の手続きはいまでもアナログで、スマホやパソコンのIDパスワードがわからないと手続き進みません。そのため、現役世代が亡くなったときの方が大変なんです。
デジタルの情報は開示請求ができないですからね。
ネット証券なども同じです。開けなければ対応ができない。最低限、生前に管理方法をどこかで記していただかなければ行き詰まってしまいます。
このような情報もエンディングノート記載していただくとスムーズですね。
死後事務や生前準備の重要性や認知を広げていきたい
利用者対応時で印象的なエピソードがあれば教えてください。
定年退職されてすぐのお一人暮らしの方が、トイレで亡くなられていたケースがありました。その方は死亡日が特定できませんでした。手続き上では、死亡日を決めてご家族からのご依頼で手続きをしました。ご家族も私もやるせない気持ちで後悔が残ります。
そのような事態を防ぐ方法はなかったのでしょうか。
ご家族との頻繁なやり取りや情報共有、セキュリティシステムが完備されていれば、防げない事態ではなかったと思います。
生前にご自身やご家族ができることはたくさんあります。だからこそ終活をはじめ、死後事務や生前準備の重要性や認知を広げていきたいと思っています。
依頼者への対応で大切にしていることはどんなことでしょうか。
家族代行にマニュアルは存在しないので、時間をかけて会話をすることを心がけています。また、依頼者との信頼関係がなければ成立しないので、依頼者との何気ない会話が大切だと思っています。何気ない会話から依頼者が何を求めているかを常に追求しています。
メッセージ
最後に、生前契約を検討している方にメッセージをお願いします。
本来はこのような会社がないことが理想です。家族ができるのが一番なんです。でも、今の時代はそれが難しいからこのような仕事があります。だから家族のように厳しいことも言います。
ご相談して、安心して健康で長生きしてください。「必ずまた、会いに行きます!」という気持ちでみなさんと向き合っております。
健康な方も持病を抱えている方も、誰でもいつ何があるかはわかりません。元気なうちにやることはやって、生きている時間を大切にしてほしいです。
柳原さん、ありがとうございました!
一般社団法人エンディングサービスセンター・概要
~家族のように寄り添いサポートする~
エンディングサービスセンター®は、身近で頼れる存在として、「家族のように寄り添いサポートする」をモットーに事業者間で連携して業務に取り組んでいる。また、定期的に終活セミナーを開催し、いかに元気なうちから準備をしなければならないか、またエンディングノートとは何か、その記載方法など、より多くの人に情報を提供するべく活動中。まずは、気軽に相談を。